切手や消印がなくても面白いという例です。静岡県の富士瓦斯紡績株式会社が北海道空知郡富良野町から出稼ぎに来たらしい紡績女工のご実家あてに送った賞与金の通知書です。裏面は同社の工場写真です。娘さんが元気に働いていること、ちゃんとした立派な会社であることを知らせ、親許を安心させようという意図であることがわかります。以下、通信文を転記します。
賞與金通知書
一金二圓◯四銭
但大正十二年上半期賞與金
右金額は御息女マツヨ様
當半期間の御勤勞にむく
ゆる為め支給になりまし
た此の金額の中半額は利
息をつけて積立置き滿期
の際御渡し致すことにな
つて居りますから左様御
承知置き下さい
文中に大正12年と書き込みがあるので時代特定できるのが幸いでした。なお、切手別納制度ができたのは大正8年(1919)なので、大正年間の使用例は丁寧にチェックしておいた方がよろしいかと思います。もちろん、本例のように郵便使用例よりも通信内容の方が重要な場合がありますので、別納郵便だからといって軽視は禁物です。