1913年に生きた個体が捕獲されるまではカバの奇形だ、いやこれはカバではなくブタだろう、とまともに取り扱われることすらなかったのがコビトカバです。体長150-175cm、体重180-275kgで通常のカバの1/3ほどしかありません。たまたま生息域と戦乱地が重なっていた不幸も災いして野生の生息数もはっきりしていません。今ではジャイアントパンダ、オカピと並ぶ世界三大珍獣のひとつだそうです。
さりながら飼育しやすいことから日本の上野動物園などでも容易に見られます。特徴的な丸っこい頭部などのかわいいポイントをどうぞ愛でてやってください。
そんな数奇な運命が心に残り、動物切手コレクターでもないのにコビトカバの切手には常々注意していました。今では20種以上の発行が確認されますけれど、私のイチオシはコートジボワール(アイボリーコースト/象牙海岸共和国)が1979年に発行したこの1枚です。フランスの切手デザイナーVeret Lemarinier氏(1944〜)のイラストレーションが他を圧倒する美しさです。
コビトカバ切手発行の直後にも3種の野生動物切手が発行されています。それらもたいへん素晴らしい出来なので特にご紹介します。5Fローンアンテロープ、20Fコシキダイカー、60Fツチブタです。いずれもデ・ラ・ルー社によるグラビア印刷です。
Veret Lemarinier氏、実は日本切手も手がけられています。2003年の日本の第2次世界遺産シリーズ第11集『「平和」切手デザインコンクール』で当選した「La Paix(平和)」の原画は氏の作品です。一般応募で見事当選されました。