喪中はがきを受け取った際のお返しとして利用される”お線香たより「翠麗」(すいれい)”をご存知ですか?。郵便局の窓口脇に置かれているのを見たことがあるはずです。とはいえ、私もまた昨年、父が亡くなるまではまったく気にもとめていませんでした。当事者となって初めて気が付いたというのが本当のところです。
翠麗は日本郵便さんと日本香堂さんとのコラボ商品です。お線香とお悔やみカード、包み箱それに郵送箱がセットになってひとつ1,080円(税込)。これに定形外郵便料金250円分の切手を貼って差し出します。このたび、あらためてその歴史をまとめましたところ、郵趣的にもたいへん興味深い対象であることがわかりました。
・発売開始は2013(平15)年10月1日。
これが最初の第1次になります。
・縦寸法を5cm長くした改良版を2014(平16)年10月14日に発行。
これが第2次になります。現行製品です。お線香と一緒に御霊前袋・御仏前袋を同封したいという、言われてみればごもっともな要望を受けての改良でした。
本件をまたしてもfacebook上で各位にご教示を願いましたところ、たいへん有意義なことがらが判明しました。
第2次発売とともに第1次は発売中止。一定期間、3割引で職員限定で販売されたのち、残りはすべて回収された。お尋ねした現役局員さんどなたもが年に2〜3回は扱った、しかも、御霊前袋・御仏前袋を同封しての”現金書留封筒を使わない現金書留便”として扱ったご経験があるとのことでした。なにより局員さんご自身が利用していますよ、とのこと。いやあ、すっかり盲点でした。整理すると以下の3点が収集ポイントになると思います。
(1)第1次は未使用・使用済を問わず明らかに稀少。
(2)現金封筒を使わない現金書留便の最適な使用例のひとつ。
(3)定形外250円、現金書留680円、いずれの料金も適正1枚貼りになる切手がない。
最難関は第1次製品の入手だと思います。わずか1年間プラスαしか販売期間がなかったのですから、現存している絶対数が少ないと思われます。
そして来週末に亡父の一周忌法要を控えていることから、自分あてに(2)を作りました。ふつうの定形外250円料金の非郵趣家使用例はすでに入手しているので、どうせ作るなら現金書留でしょう。そして予想していたことながらいろいろありました。
「香典を一緒に送りたい」と申し出ましたら窓口職員さん「現金は送れません」と。これが第一関門でした。しかし、横で見ていた局長さんらしき方がすぐに訂正してくださいました(お見事です!)。現金書留封筒でなくても現金を送ることはできるのです。
現金書留用のバーコードラベルを貼り、開封口のところに割印を求められました。事前に教わっていたのは白いシールがあり、それを封締め貼りした上で割印(もしくはサイン)のはず。これが第二関門でした。念押ししましたがやはりシールはないし、現金書留封筒用の封緘紙もとっくに廃止されたんですよとのこと。揉めるために差し出しているわけではないので、ここは仰せに従ってサインをしました。その上から透明の荷造りテープを貼られました。
また「現金書留」のハンコはないので手書き表記になりました。現金書留封筒を使うのがデフォルトなのですからなくて当たり前ですね。
最後、黙って見ていましたら、適正1枚貼りになる切手が存在しませんので窓口料金証紙(メータースタンプ)を貼られました。これが最も自然な取り扱いだと思います。切手貼りにこだわる積極的で合理的な根拠は見い出せません。
今朝、自宅に配達されました。箱のままでは保存に差し支えるため冒頭図のようにフロントのみに切り抜きました。ただし、封緘の方法に疑義が残るため、その部分はあえて残し、収納時は折り畳んでおくことにしました。興味のある方はぜひチャレンジなさってください。