このカバーを見て意味がわかる人はそうはいないと思います。かく言う自分も最初はスルーしてしまいました。後でアオヤマスタンプさんに説明していただいたからこそ入手したもので、それがなければ見逃したままだったと思います。
1990年代のブラジルは途方もないインフレを経験しました。本便はそれを示しています。貼られた切手は130クルゼーロ。不足している金額は赤色のメータースタンプで別途支払ったものですけれど、その額はなんと48,700クルゼーロです。切手収集家どうしの通信のようなので、あらかじめ購入していた綺麗なインコ切手を意図的に貼ってくれたようですが、はっきり言って切手貼った意味なし・・・に極めて近いですね。
(消印はCORUMBA局1993年11月4日です)
マニュアルを編集する仕事もしてきたので、いかにわかりやすくするかは非常に神経を使う作業であることは骨身に染みています。
郵趣家の人たちは紛れもなくマニア体質ですから往々にして回りが見えないことが多いです。基本的に他人に理解してもらおうという意識が希薄なようで圧倒的に説明不足。専門用語を使っても意味が通じないよ、ということにも無頓着すぎます。きちんと説明さえすれば理解され、興味を持って集め始める人も現れてきます。そのことを過小評価するべきではないと思います。
最もよくないのがアルバムリーフ作品を会報に載せている例ですね。切手展会場で作品全体を見ることができるからこそ個別のリーフの意味がわかるのであって、1リーフだけをぽんと載せただけで何の解説もない。リーフに書き込まれているキャプションだけで理解してもらえるとの思い込みが甚だしい。
展示も売買もできる限り一歩踏み込んだ説明を心掛けましょう。例えばFacebookでも図版をアップロードしてそれで意味がわかると思い込んでいませんか?。世の中には郵便局の風景印の存在すら十分に認知されていませんよ。その前提環境をよく理解してくださいね。面倒臭い説明、その手間こそがいちばん大事です。面倒臭いからいいやと思ったその瞬間にまた一人新しい郵趣フレンドを逃しています。