郵趣12月号がお手元に届いている頃あいだと思います。P.53にフランスの新しいマリアンヌ図案の普通切手が一挙掲載されています。担当連載記事でも触れましたように、フランスでは大統領が変わるたびに普通切手のデザインが一新されます。ただし、題材はマリアンヌ像と決まっています。オランド新大統領はOlivier CiappaとDavid Kawenaという2人のデザイナーコンビの図案を採用しました。
図版には2種類の小型シートが掲載されています(図版番号97)。ですが、それ以外にもう1種、二つ折のホルダーに納められた横長の小型シートが発行されています(上図)。その切手と消印部分の拡大図を下に掲げます。どうでしょうか、今という時代の息吹を感じさせるグッドデザインだとは思われませんか?。
私はまた別の視点からも注目しています。世の中には郵便用日付印つまり消印を描いた切手という変り種が想像以上に多く存在します。未使用なのか使用済なのか、ぱっと見ではたいへん紛らわしい場合があります。この小型シートはシート地に消印(記念印)を描いているだけでなく切手まで再現しています。ただし、再現切手図案の方は偽造防止目的でしょうか、首から下の描線をモザイク処理しています。このあたりの細かい差異を観察するのも楽しいことです。
せっかくなら未使用ではなく、初日記念印押しの方が視覚的に比較できるのでより良いだろうと判断しました。かくて切手も消印も本物と再現図案の両方が同居した小型シートと相成りました。