10月1日からの新料金に対応したグリーティング・シンプル3種が報道発表されました。第1種基本料金額面84円のほかに初めて第2種63円、第1種重量便94円も登場です。個人的にははがき料金用を熱望していたのでたいへん嬉しいです。主張控えめなデザインなので日常的にオールマイティーに近い使い方ができそうです。もちろん、郵趣家としては消印映えしそうなので記念押印にも多用したいと思います。
郵趣会の会報を見ると、いまだに50面シートに対する批判があります。同じ郵趣家として恥ずかしくてたまりません。大村益次郎さんではないですが「あんたは切手を知らん!」と喝破したくなります。
日本は切手の種類が少ない国であるという基本認識をまず持っていただきたい。現在では大きく分けて特殊切手と普通切手の2種類しかありません。ふるさと切手やグリーティング切手などもありますが、使い方に特徴や制限があるわけではないので、ふるさとは特殊、グリーティングは普通の亜種のようなものです。
ところが2017年から発行が始まったグリーティング・シンプル82円は、日本で初めてと言えるビジネス用切手です。会社名が入った素っ気ない社用封筒使用例こそが適正使用例であり、それゆえに2枚以上の多数貼り使用例が非常に少ないことにも気付かなければなりません。数あるグリーティング切手のひとつとしか理解していないとしたら大きな誤りです。
ビジネス用切手は1980年代のオランダに数多く見られます。額面数字をアレンジしただけのシンプルなデザインは日本のそれとほぼ同じ思想が伺えます。と言うより、日本の方がそれら先例を研究された上での発行なのだろうと理解しています。50面の大判シートも然りです。代表例としてオランダが2005年に発行した2種をご覧に入れます。
世界の潮流としてビジネス郵便の方向性は以下の3通りが観察されます。
(1)切手をやめる・・・バーコード等のデジタルコード印刷で代替。
(2)料金証紙化・・・メータースタンプ、フラマ、Post & Go。
(3)ビジネス切手の発行
(3)はすっかり少数派で、残念ながらほとんどの国では(1)への移行が進んでいます。日本のグリーティング・シンプルは”遅く現れた新人”でありながら、世界のビジネス切手の終焉を物語る最後の証人になるかもしれません。
日本切手しか知らないと、こうした世界の動きや未来予想ができません。どこでもいいですからせめて1ヶ国(または地域)の外国切手収集を強くお薦めしている理由です。
おしまいにカナダのコイル切手の実例をご覧いただきます。ビジネス用に作られた5,000枚ロールです。資格を与えられた企業しか購入できない”太巻き切手”です。日本のたったの50面シートなんざ問題外(笑)