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無封書状

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 防府切手のつどい2023夏で拾った1通です。郵趣家なら特になんとも思わないいわゆる駄物です。

2023072601

 内容は印刷物で開封したまま差し出すことが条件の「無封書状」と言います。明治40年4月1日 (1907) から始まった制度で10匁まで2銭料金、昭12.3.31 (1937) まで同額でした。今の生活感覚だとタウンメールとかポスティングチラシなどの広告郵便・媒体に近いのではないかと思います。
 私が注目したのは住所表記がない点です。これも往時は散見されていたのでさして珍しい印象はありません。にしても、配達地域内のひとりひとりを丸覚えしていないと配達できないわけで、率直に配達員さんの職能の高さに脱帽です。同一市内宛なら住所表記を省略しても良い的な規程でもあったのでしょうか?
 ちなみに当時の防府市の人口は約5万人、令和5年7月の段階では11.5万人。行政区域が同一ではないので単純比較はできないにせよ、現在の半分以下と考えて良いでしょう。光妙寺さんも現存しています。
 一方、かつては人件費がタダみたいに安かったので、お寺さんならなおのこと、寺男にでも配らせば良かったものです。それをわざわざ1通2銭も経費をかけて郵便で送ったのは、書面で確実に届けることを担保する意味が付託されていたのではないかと想像しています。となると、ただの広告郵便ではなかったのかもしれません。

 同様例としてお隣の島根県口羽村 (くちばむら) の例もお示しします。昭30当時でも人口は3,000人だったものが現在は800人まで激減しています。防府市とは真反対で極端な過疎化が進んでいます。

2023072602

 コミュニティーの規模と質の変遷を知る郵便資料になる可能性に期待して今もコツコツ拾っています。安物なので苦労はありません。中身が残っているものならなおさらウェルカムです。

 

 

 


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