Quantcast
Channel: HYPER Philatelist
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1679

添付郵便を自作しました

$
0
0

Gibraltar

 図はジブラルタルが2002年に発行した「ジブラルタルの岩」と題する4種横連刷です。島の東西南北方面から撮影したもので、表面を指先で触るとざらっとした感触があります。これは実際のジブラルタルの岩石粉(石灰岩)を練り込んだ透明樹脂を印面上に刷り重ねているからです。
 それまでも異物を添付した郵趣品はありましたが、この樹脂固着方式を採用したフランスのカルトール社の技術を実用化した本券が、いわゆる異物混入・添付切手の第一号となりました。それ以後、各種岩石・土砂の粉、粉砕した木片、鉄粉、火山灰、ラメ粉末、はては隕石の粉(普通コンドライト)など多種多様な物質(異物)付きの郵便切手が80種程度世に出ています。その詳細は荒牧裕一さんのホームページUnusual STAMPs street 『世界の変った切手たち』の「異物が混入された切手(Something Embedded in the Surface)」をぜひご覧ください。

 この手法を日本でもできないかな?と長年考えていました。諸外国のように切手の印面への加工は法律的に偽造・変造とみなされる危険性が濃厚なのでとりあえず除外。フレーム切手のタブ部分や切手の耳紙部分への加工ならよさそうですが、さしあたって姉妹ブログのLocal stampsでご紹介しているコラボ・カードへの埋め込みを考えました。行った先々で押印した観光・記念スタンプ、風景印とともに現地で採取した物質を添付できれば、よりメモリアル性が強調できます。異物混入・添付の意義が明確であることを考慮しました。
 その試作第一号で下のカードを製作しました。昨年、鹿児島に行った時に桜島サービスエリア(下り)で押したハイウェイスタンプ付きの私製はがき、その左下カドに見える黒丸が桜島の火山灰です。中性のウレタン樹脂接着剤を見つけたことがうまく行った理由だと思います。中性でないと経年劣化で黄化・萎縮して剥離してしまいます。基本的な手法はこれでよろしかろうと思いますので、その工程を公開することにしました。(下図カードの解説はこちらです)

Sakurajima_sa_kudari01


No.1 用意するもの一覧
Htm01(1)一穴パンチ
 直径5ミリ。
(2)切手型パンチ(装飾パンチ)
 「切手型パンチ」でググるとすぐに見つかります。どのメーカーさんのものでもかまいませんし、お好みで切手型以外のものでも何でもOKです。
(3)シール式切手のシート地
 捨てるのはもったいないです。(2)で型抜きして装飾シールを作ります。
(4)商品名アクアセブン
 ウレタン樹脂の環境対応型水性接着剤です(アシッドフリーボンド)。ホビー・手工芸・スクラップブッキングの制作に、紙、布、木、ゴム、金属、発泡体などの広範囲の材料に使用できます。黄化剥離しないので建築模型作りによく使われています。製造はデザイナーならミツワペーパーセメントでおなじみの福岡工業株式会社さん。私は博多の東急ハンズで入手しました。
(5)私製はがき
 異物を埋め込むベースとなるはがき用紙。なるべく厚手が良いです。
(6)マイタックラベル
 直径8ミリの白丸シールです。(1)のパンチ穴より直径が大きいものを。
(7)タックシール
 透明フィルムだけを使います。他にふさわしいものがあればそれでも可です。
(8)桜島の火山灰
 異物の例として鹿児島県立博物館でいただいた桜島の火山灰を例にしました。
(9)スプーン
 埋め込む火山灰をすくう、撒く、押さえるのに使います。日用品です。

No.2 穴開け
 一穴パンチではがきに穴を開けます。
Htm02

No.3 裏当てその1
 はがきの裏面から丸型シールのマイタックラベルをパンチ穴を隠すように貼ります。
Htm03

No.4 裏当てその2
 マイタックラベルだけだと味気ないのと、シール性能が何年もつか心配です。そこでシール式切手の余白であるシート地を再利用します。切手型パンチで絵柄部分を型抜きして楽しいシールを作りましょう。それをマイタックラベルを隠すように上貼り(重ね貼り)します。
Htm04

No.5 裏処理完成
 矢印部分にご注目。少しの工夫で印象が変わりますね。また、マイタックラベルの接着性能が落ちてもフェイルセーフとなり剥離を予防します。言うまでもないことですが従来の裏糊式切手の耳紙・シート地余部でもOKです。
Htm05

No.6 アクアセブン滴下
 はがきを裏返して表面にしてください。穴部分にアクアセブンを1~2滴垂らします。若干の粘度があるので細口先端ノズルで少し塗り広げてください。やや山盛りになっても大丈夫、心配無用です。
Htm06

No.7 桜島の火山灰
 いよいよ埋め込む物質を取り出します。ここでは桜島の火山灰を用います。いずれの物質にせよ腐敗しない無機物、汚染の心配のない清潔な乾燥物が望ましいですね。
Htm07

No.8 火山灰ふりかけ
 アクアセブンを滴下した穴部分にスプーンで火山灰をふりかけます。多めがいいです。
Htm08

No.9 火山灰押さえ
 スプーンの背でふりかけた火山灰を上からぎゅっぎゅっと押さえてください。
Htm09

No.10 不要灰落とし
 余分な火山灰を払い落としてください。アクアセブンが接着剤となり、このように火山灰が円形にくっつきます。ただし、直後はアクアセブンが乾いていないので上から触らないでください。この状態で15~30分放置します。
Htm10

No.11 コーティングその1
 放置後に再度アクアセブンを1~2滴垂らします。丸穴全体に広げますが、図のように少々山盛りになりますが大丈夫です。乾燥すると沈下して平たく透明になります。
Htm11

No.12 コーティングその2
 1〜3時間ぐらいでアクアセブンが乾燥しますが、しばらくは表面のベタつきが残ります。このまま郵送するのはふさわしくないので仕上げに透明フィルムを上貼りします。
Htm12

完 成
 完成品の接写画像です。使用するはがき用紙が肉厚であれば、仕上がり面もより平らになります。
 あとは皆さんの創意工夫で色々な形の装飾パンチを使うなどしてさまざまな物質を埋め込んでみてください。健闘を祈ります。
Htm13


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1679

Trending Articles