1978年(昭53)発行の新東京国際空港開港記念切手に関しては以前に「32年後の邂逅」と題した記事を掲載しました。wikipediaにも以下のようにわかりやすく記載されています。
事件のため、郵政省が空港開港日の3月30日に予定していた記念切手の発行を延期した。しかし成田郵便局では初日カバーの特印押印作業を進めていたことから、3月30日の日付印が問題になった。そのため、初日カバーの製作依頼者に代品の手配や実費の負担などによって所有権を移転したうえで、全部焼却処分にし、多額の損失を被った。結局切手は5月20日に発行されたが成田郵便局は無事に発行したことを確認してから押印作業を始めた。
(「成田空港管制塔占拠事件」より)
※追記:wikipediaには出典が明記されていませんでしたので重要な事を見逃していました。上記引用文の本当の出典元は、文章表現の類似性などから内藤陽介さんの解説・戦後記念切手V「沖縄・高松塚の時代」である可能性が極めて濃厚です。同書のP.279〜284の記述こそが詳細にして正確ですので特にそのことを追記しておきます。
以上のような経緯から3月30日付のFDC類はすべて処分されました。ですが盲点がありました。初飛行カバーことFFCです。先に開催された切手のつどいin広島2013にて福岡のパインスタンプさんが持参されたFFCの束から日本航空の新東京国際空港開港記念・出発第一便・JAL947便・成田ーグアム線を発見しました。カシェ下部の日付はもともと"3RD APRIL 1978"となっていたところ、"22ND MAY 1978"のシールを上貼りしています。日本航空さんは当初予定の日付の入った封筒を破棄せず訂正シール貼りで対応していたのです。
さらにもう1通、到着第一便も見つけました。JAL045便・サンフランシスコー成田線です。本来の日付表示は"2ND APRIL 1978"で、これに"21ST MAY 1978"のシールを上貼りしています。
おそらく他の航空会社さんも同様のFFCを作成されていることでしょう。興味のある方はぜひ探してみてください。