アメリカでは著名な退役軍人をゲストに招いてのエア・ショウの類がよく行われているようです。主としてイベント主催者、管轄郵便局、地元の郵趣グループなどのタイアップでそのイベントに関連した郵便グッズも各種製作されています。
この記念カバー(封筒)のその一種で「B-17の設計開始50周年記念フライト」の時のものです。カバーには機長とともにとある人物の直筆サインが記されています。カバーの中にはご当人の写真もセットで入っています。彼が誰だかわかりますか?
彼の名はカーチス・ルメイ、この1983年当時76歳。太平洋戦争中、対日作戦として東京大空襲をはじめとする日本本土爆撃、日本焦土作戦を立案・実行した人物です。戦略爆撃の専門家であり、対日戦での功績が認められてケネディ政権の時には空軍参謀総長にまで昇進していました。
彼はまた爆撃機の開発の責任者としてボーイング社のB-52などの開発の指揮も執っています。その関係でB-17の設計開始50周年記念フライトにも呼ばれたのでしょう。
いわゆる撃墜王として有名なエースパイロットのものはたいへん人気がありますが、ルメイのそれは正直、人気薄で驚くほど安価に入手できました。日米での知名度の差もあるのでしょうが、死後になってルメイがキューバ危機の時に核戦争を引き起こしかねないもっとも誤った判断をケネディ大統領に提案していたことが情報公開で明らかになったこと、彼の好戦的な性格が引き起こしたさまざまな事件や意見の衝突も災いしているのかもしれません。
冷戦終結を見届けることなく1990年に83歳で亡くなりました。